WORKS

暮らしの中で見慣れた文様が、絵の中で出会い、いにしえの情景や物語を描きます。
その繊細で物質感豊かな絵画は、新しいひとつのオブジェにも見えます。

若菜・下

源氏物語シリーズ「若菜・下」油絵 M8号
The Tale of Genji series ”New Herbs Part Two” oil painting 273x455mm

「月待ちて、とも言ふなるものを」と、いと若やかなるさましてのたまふは、憎からずかし。「その間にも、とや思す」と、心苦しげに思して、立ち止まりたまふ。
源氏物語 帖 「若菜・下」

「月待ちて(夕暮れは道たどたどし月待ちて云々)とも言いますのに」若々しいふうで宮がこうお言いになるのが憎く思われるはずもない。せめて月が出るころまででもいてほしいとお思いになるのかと心苦しくて、院はそのまま仕度をおやめになった。
与謝野晶子

後ろには下弦の月に寄せた源氏、前方には琴の前姿で女三の宮、月が欠けるように理想郷・六条院が、その威光を失って行きます。女三の宮の弱さが頂点に君臨する源氏の権勢を揺さぶるのです。

CATEGORIES

源氏物語シリーズ

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