WORKS

暮らしの中で見慣れた文様が、絵の中で出会い、いにしえの情景や物語を描きます。
その繊細で物質感豊かな絵画は、新しいひとつのオブジェにも見えます。

野分(のわき)

源氏物語シリーズ「野分」油絵 変形SM
The Tale of Genji series ”The Typhoon” oil painting 174x227mm

御屏風も、風のいたく吹きければ、押し畳み寄せたるに、見通しあらはなる廂の御座にゐたまへる人、ものに紛るべくもあらず、気高くきよらに、さとにほふ心地して、春の曙の霞の間より、おもしろき樺桜の咲き乱れたるを見る心地す。
源氏物語 帖 「野分」

屏風なども風のはげしいために皆畳み寄せてあったから、ずっと先のほうもよく見えるのであるが、そこの縁付きの座敷にいる一女性が中将の目にはいった。女房たちと混同して見える姿ではない。気高くてきれいで、さっと匂いの立つ気がして、春の曙の霞の中から美しい樺桜の咲き乱れたのを見いだしたような気がした。
与謝野晶子

野分に襲われた六条院を訪れた夕霧は、それまで隠されていた義理の母・紫の上を、偶然見てしまう。
夕霧は、その美しさに強く魅せられる。

CATEGORIES

源氏物語シリーズ

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