鑑賞教育
現在の作品様式に移って間もない頃、日本の伝統文化への親しみを深めるためにと京都・奈良へ短期の旅行をしました。特に竜安寺の石庭は造形的にも重要に思えて二度訪れ長い時間を過ごしました。
竜安寺は有名な観光スポットですから修学旅行の中学生も大勢訪れます。彼らのような人々を思ってか、石庭前の部屋にミニチュアを置き石庭の石の数に注意を引くような解説がしてあります。
私が石庭を前にして座っていると、中学生達は縁側に出るや石を数え始め、解説通りの数を確認すると踵を返して部屋に帰っていきます。
まさに作品の解説は鑑賞の妨げそのものです。芸術の鑑賞も創作行為のひとつなのに他の人の手が入りそのままではその人の鑑賞にはなりません。
たとえ作家自身による自作の解説であっても、後から作られた言語によるもう一つの別な創作物なのです。
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