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見る女アイキャッチ

NFTの研究と同時に行っていたのが、デッサンをドローイング作品とすることです。YouTubeで宣伝活動をするために動画になるコンテンツが必要となり、人物デッサンを描く様子を撮りました。しかし、YouTubeで見せるのは作品でなく作者だという根本的な勘違いに気が付いて一気に冷めました。

それでも、人物デッサンをすること自体は続けたかったので、練習や見世物でなくドローイング作品の制作にできないかと考えるようになったのです。

ところで、だいぶ昔のことですが、絵を複写していて、絵の複写写真を写真作品と言って出せないかと想像したことがあります。そんなことを思い出し、ネットに載せるために人物デッサンを複写したものを、今度は、アナログの複製ではなく独立したデジタル作品にすることを思いついたのです。

ただ、どんなに高性能の機器を使っても、複写の過程で失われるものがありますから、単なる劣化コピーを超えるためには、何らか発想の根本的転換が必要です。

そこで、人物デッサンの複写データをデジタル処理して経年劣化を加え遠い昔の素描としたのです(もともとアナログからデジタルへの変換は劣化しますから)。そして、自分が描いたデッサンを見せるのではなく、私が発見した古い作者不詳のデッサンを披露すると言うフィクションを創りました。

これによって、私の長年の懸案も解決されました。作者が分からないのですから、作品の意味とか、制作の意図とか、題名すら問うことが無意味になります。

結局のところ、芸術作品は、答えを出しているものではなく、何かを鑑賞者に問いかけているものです。作品は見る人の心に種子を植えます。受け取った者はじっくりと時間をかけて育てなければなりません。分かりやすい答えを与えてくれるものは大抵怪しく危険なものです。

また、けっこう軽い気持ちで始めたこの制作は意外にも更に根源的な問題へと広がって行きそうなのです。

と言うことで、NFTの研究・調査は一旦横へ置いて、何よりもデジタル化したドローイング作品をまず多く制作をすることにしました。

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